67歳で二級建築士合格
諦めるのはいつでもできる
主人が診療所を始めるにあたり、施主として初めて建築に関わりました。何もわからないながらも、動線や模型を作って玄関の形を考えることがとても楽しかったことを記憶しています。その10年後、自宅を建てた時にはスケッチから始まり、建具・内外装材の選定、造作家具の設計まで、好きなように、納得するまで時間をかけました。そのおかげで、満足する建物ができあがったと思っています。この頃には、すでに息子たちは進学等で自宅にはおらず、私は久しぶりに自由な時間を持つことができる状況でした。建築に関わり、生き生きとしていた私を見て、主人が言ったのが、「勉強して、建築士になったら?」という何気ない言葉でした。はたして自分にできるのかどうか、自信はありませんでしたが、通信教育なら続けられると思い、55歳で入学しました。
いきなり3年次編入をするのはプレッシャーだったので、科目等履修生で入学し、コツコツと単位を修得していきました。ただ単位を取るためと割り切って考えれば、もっと効率よく学習することができたかもしれません。でも私は、建築を知りたくて大学に入ったので、適当に単位だけ取れればいい、というのは違うと考えていました。そのため、レポートや科目終末試験はしっかり準備をした上で、提出・受験をしました。一番つらかったのはCADのスクーリング。若い人はパソコンが得意かもしれませんが、私は苦手でした。でもどうしても3次元のCADで図面が描きたかった。苦心の末、360°どこからでも設計した建物が見ることができた瞬間は感動しました。環境の変化もあり、卒業まではずいぶん時間がかかってしまいましたが、おかげで建築についての理解は深まった、と感じています。