教員PiclUp!
社会人だからこそ持てる視点がある
建築を通じて自分の可能性を広げて欲しい
愛知産業大学・通信教育部の造形学部建築学科では、第一線で活躍する教員たちが生徒の指導にあたっています。今回、お話を聞いた久原裕先生もその1人です。スタジオ・クハラ・ヤギの共同主宰である講師・久原裕が見た、同校の通信教育の特徴について語ってもらいました。
建築の可能性は無限大
自由な発想を持って臨もう
私は、主宰の「スタジオ・クハラ・ヤギ」のほかに、「NPO法人 team Timberize(チーム ティンバライズ)」という団体に所属し、木を昔からある素材として考えるのではなく、新しい素材としてとらえ木造建築の可能性を探っています。特に注力しているのが、「都市木造」というテーマについてです。2000年に建築基準法が改正され、性能の基準さえ満たしていれば木造建築でも耐火建築が建設可能になりました。加えて、近年では硬い木や柔らかい木、腐りにくい木や燃えにくい木など、様々な木材が開発されています。これらの木材や建築様式を追求し、木造建築の可能性を社会に発信しています。このように無限の可能性が秘められているのが、建築の魅力だと私は考えています。私は主に設計やデザインについて教えていますが、最初に伝えるのがそのことです。そのため、まずは学生の皆さんが思い描いている「建築像」を壊すことから始めます。建築は、その人が見てきたものや触れてきたもの感じてきたものが形となって表れます。しかし、街にある建築物の多くは、コストやスケジュールなどの兼ね合いもあり、それほどバリエーションは多くありません。皆さんには既成概念にとらわれず、自由な発想で建築を学んで欲しいと思っています。
社会人経験があるからこそ
新しいアイデアが生まれる
本校の通信教育で学ばれている学生の多くが社会人の方です。平日は仕事に集中し休日に大学のレポートをするなど、皆さん、忙しい仕事の合間を使い効率的に学ばれています。その分、目的意識も高く、教える側も非常に刺激を受ける環境です。その中で、10年近く本校で指導をしていますが、通学の建築学部と遜色なく建築が学べるのが本校の特徴ではないでしょうか。しかも、学生側に負担が少ないのも大きなメリットだと思います。通信科目とスクーリング科目がありますが、時間割がないので忙しい平日はレポート作成の時間に当てて、連休を使いスクーリング科目をこなすというように、自分の都合に合わせて学びのスケジュールを立てられます。また、一見すると会社に勤めながら学ぶのは大変そうですが、社会人を経験してきたからこそ気づく「社会課題」や「問題意識」があり、皆さん卒業制作などのテーマに取り入れています。そのため、作品にリアリティさが増し、クオリティの高いものができあがる。その課程を何度も目の当たりにしてきました。
資格取得だけではなく
広い視野を持って学ぼう
日本の教育現場において、建築を勉強できる場所と機会は限られているのが現状です。愛知産業大学では、そんな建築の勉強を通信で勉強できる数少ない大学なので、建築に携わる人間として大変重要な学びの場だと実感しています。だからこそ、学生の皆さんには「目的意識」をしっかりと持ち、通信科目やスクーリングに望んで欲しいと思っています。この大学を卒業すれば、二級建築士の受験資格を得ることができます。もちろん、それを目的に学ばれるのもいいのですが、それ以外にも幅広く建築のことを学べるチャンスがここにはあります。「建築を通じてこの大学では何が学べるのか?」事前に調べておくだけでも、きっと過ごし方は大きく変わってくるはずです。ただ漠然と過ごすのではなく、ぜひ有意義な学びの時間を過ごしてください。




講師:久原裕(くはらひろし)
1968年、愛知県生まれ。東京大学工学部建築学科卒。長谷川逸子・建築計画工房を経て、クハラ・アーキテクツ設立。2010年よりスタジオ・クハラ・ヤギ共同主宰、代表取締役。また、NPO法人「teamTimberize」にも所属し、理事を務めている。日々、木造建築の可能性について探求している。
講師:久原裕(くはらひろし)