私は、主宰の「スタジオ・クハラ・ヤギ」のほかに、「NPO法人 team Timberize(チーム ティンバライズ)」という団体に所属し、木を昔からある素材として考えるのではなく、新しい素材としてとらえ木造建築の可能性を探っています。特に注力しているのが、「都市木造」というテーマについてです。2000年に建築基準法が改正され、性能の基準さえ満たしていれば木造建築でも耐火建築が建設可能になりました。加えて、近年では硬い木や柔らかい木、腐りにくい木や燃えにくい木など、様々な木材が開発されています。これらの木材や建築様式を追求し、木造建築の可能性を社会に発信しています。このように無限の可能性が秘められているのが、建築の魅力だと私は考えています。私は主に設計やデザインについて教えていますが、最初に伝えるのがそのことです。そのため、まずは学生の皆さんが思い描いている「建築像」を壊すことから始めます。建築は、その人が見てきたものや触れてきたもの感じてきたものが形となって表れます。しかし、街にある建築物の多くは、コストやスケジュールなどの兼ね合いもあり、それほどバリエーションは多くありません。皆さんには既成概念にとらわれず、自由な発想で建築を学んで欲しいと思っています。