卒業研究

卒業研究 2018年度

建築学科 卒業研究作品 一覧

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卒業制作 01
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ヒト・モノ・コトの橋渡し ー東岡崎駅と市街地をつなぐ観光拠点施設ー

谷川 利枝子/愛知県/30代

近年よく耳にする保育園と近隣とのトラブルのニュース。保育園と地域がうまく打ち解けあえず、地域との間に見えない壁を作っている。この壁を取り払うことはできないだろうか。保育園を商店で囲み、まちの中心として人が集まる場所を作る。大人がこどもたちを目にする機会を増やし、保育園とまちの見えない壁を無くす。お店のおっちゃん、買い物するおばちゃん、放課後遊びに来る小学生…こどもたちはこの姿や音で外の世界を感じる。ワクワクした夢や憧れを抱く。
こどもたちの声や奏でる音、遊ぶ姿がまちの彩となり、まち全体の活気や明るさに繋がる。

PROFILE.

長い間、建築や空間に漠然と惹かれるものがありましたが、これまで全く異なる進路を歩んできました。30代に入って自分の生き方について再考するきっかけがあり、やはり建築を学んでおきたいと純粋に思い入学を決意しました。まだほんの一歩にすぎませんが、いつの日か、この道がライフワークとなれば本望です。
熱心で良心的な先生方、モチベーションを高めてくれた同級生、いつも応援し続けてくれた家族に心より感謝致します。


COMMENT.
本作品は市が推し進める城下町への回遊プロジェクトの一環として新たに建設中 の人道橋の袂に、街歩きの拠点を提案するものである。橋からの歩行者をいざなう 大階段はデッキからスロープへとシークエンスに繋がり、アイレベルとビューが緩 やかに展開しながら街の風景を体感できる。中庭ひろばは現代の曲輪(くるわ)と なり、来街者と地域住民の交流を促す場となる。人々が過ごす様々なシーンも描かれ、 新たなランドマークとなることを予感させる作品である。(担当教員:森本初雄)



卒業制作 02
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青梅トラジェクトリー 室内街路空間がつなぐ人と人、人と街

小川 浩一/東京都/図書館司書/50代

東京都青梅市の青梅宿は、江戸時代より政治・経済・文化の中心地として栄えてきた。しかし、近年の少子高齢化と人口減少により、かつての賑わいを失いつつある。この対策として、市民会館跡地に図書館・ギャラリー・公民館などの複合施設を建設する。宿の中心を貫く青梅街道をトラジェクトリー(室内街路空間)として取り込み主動線とし、図書館とギャラリーを散りばめる。公民館施設の利用者との相互交流により賑わいを取り戻すのが狙いである。

PROFILE.

木組みと土壁の自宅を建てた際、壁を竹小舞から夫婦で仕上げたことがきっかけで、建築士の資格を取りたいと思い始めました。以前は伝統構法にしか興味がなかったのですが、建築史や建築設計、CADの授業を通して、コンセプトを〈かたち〉にする楽しさを知り、現代建築に対する見方も変わりました。人間にはニワシドリの「あずまや」のように、人をあっと言わせたい本能があるのでしょう。資格を取って自邸を設計するのが今の夢です。

COMMENT.
建築内を渦巻きながら上昇する立体通路(トラジェクトリー)を軸にした複雑な空間構成が印象的な作品。青梅に関する綿密な調査と分析から導かれた今日的な公共施設のコンセプトにふさわしいフォームをひたすら探求し、生み出されたシェイプは合理的で説得力を持つ。小川さんのたゆまぬ努力が結実したデザインであり、さらに展開可能なポテンシャルを大きく秘めている点がとても魅力的だ。(担当教員:久原裕)



卒業制作 03
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サティオ前後 ~地方中小都市のサスティナブルシティーを目指して~

大川 雅弥/愛知県/併修生(東海工業専門学校金山校)/22歳

豊明市の玄関口となっている前後駅の周辺は現在、玄関口としての魅力を無くしてしまっている。そこで、駅のペデストリアンデッキから直接行き来できるパルネス前後という複合ビルの改築をする。新しい駅ビルとしての魅力を発揮させ市のランドマークの役割を持たせる。また、市のコミュニティの拠点となるようにパブリックスペースを設けることにより多くの人が集まり行き交う交流の場となるように計画する。さらに前後駅を中心とするコンパクトシティーとして新しい将来構想を提案する
豊明市の玄関口となっている前後駅の周辺は現在、玄関口としての魅力を無くしてしまっている。そこで、駅のペデストリアンデッキから直接行き来できるパルネス前後という複合ビルの改築をする。新しい駅ビルとしての魅力を発揮させ市のランドマークの役割を持たせる。また、市のコミュニティの拠点となるようにパブリックスペースを設けることにより多くの人が集まり行き交う交流の場となるように計画する。さらに前後駅を中心とするコンパクトシティーとして新しい将来構想を提案するPROFILE.
趣味はバイクで一人旅をすることです。
将来の目標は設計事務所を開設し、ゆくゆくは宇宙飛行士になることです。好きな食べ物は吉野家の牛丼と海老です。嫌いな食べ物はパクチーです。
COMMENT.
地方中都市の駅前施設はその大半は老朽化が進み、機能も魅力を失いつつあり、当該駅も同様の問題に直面している。本計画は鉄道利用以外にも目的を見出し、地域住民の交流の場を提供し、地域のランドマークも担う計画である。ファサードは駅ビルにありがちなビルディングタイプから脱却した造形や外皮をまとい魅力を創出している。空間構成は、駅前ぶらりを生み出す仕掛けや、ランダムな住戸と共用部の配置に多様な世帯への配慮と創意工夫がみられる。また、駅前だけの構想にとどまらず、人口減による都市のスポンジ化を見据えた計画も備えており、中都市が抱える社会問題への提言となっている。(担当教員:森本初雄)



卒業制作 04
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動かすニュータウン運動から生まれるコミュニケーションの輪

藤村 有那/愛知県/併修生(東海工業専門学校金山校)/22歳

計画地は愛知県春日井市立西藤山台小学校跡地とした。本地区の集合住宅エリアでは高齢者のみ世帯が集中し、戸建住宅エリアでは子育て世帯が多い。
これらから、少子高齢化の進行、空き家の増加、子育て世帯の教育・子育てサポートをする場がない、多世代が交流する場が少ないといえる。
そこで本提案では若い世代に居住を誘導し、多世代のバランスがとれた住宅地を目指す。
PROFILE.
静岡県磐田市で生まれ、愛知県春日井市で育ちました。春日井市は、自然豊かで大きな公園が多く存在します。そのため幼い頃は週末に公園へ行き、体を動かしていました。20 代になった現在でも体を動かすことが好きで、ボルダリングに通っています。建築に興味を持ち始めたのは高校生の頃です。中学3年の進路決めの時、座学が苦手だった私は、実習科目のあるインテリア科に入学しました。そこで、建築の面白さを知り、専門学校で二級建築士を取得しました。
COMMENT.
ニュータウンが抱えている高齢化に対して、子育てをサポートする機能を設け、 ファミリー層を取り込みバランスのとれた住宅地の再生を目的としている。コミュ ニケーションのきっかけとして、体を動かし体験を共有することで、世代間の交流 を促し、また、かつての地形を活かし、町の中に風が通り抜けるマスタープランを 描いた津端修一氏の思想を体現している。この作品は、プログラム、細部における 仕掛けの造り込み、そして表現力、どれも完成度が高く秀逸である。(担当教員:宮崎晋一)



卒業制作 05
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居場所 ~農でつながる地域と施設~

上岡 穂奈実/愛知県/併修生(東海工業専門学校金山校)/22歳

現在の社会問題となっている少子高齢化。この少子高齢化社会を豊かな形にするためには、地域・社会全体での取組みがなければ成り立たない、だが実際は異世代間の交流が少なくなっているため、取組みがなされていない。
そこで、主な対象を恵まれた環境におらず、世間からも孤立していることから、他の人よりも異世代の交流が重要となってくる「児童養護施設」の「要保護児童」を主な対象とした、地域住民の交流の場ともなる児童養護施設を計画した
PROFILE.
専門学校で建築を学んでいく中で、もっと多くの建築の知識を学びたいと思い、通信教育を受講しました。
専門学校と大学通信教育の両方を同時に学ぶのは大変でしたが、実際に活躍している先生方とも出会うことができ、沢山の事を学ぶことができました。
4月からは社会にでるので、より多くの人と出会い、沢山の事を学ぶことで、優れた設計者になれる様、頑張っていきたいと思います。

COMMENT.
児童養護施設の子どもたちが、施設内で生活環境が完結するのではなく、地域の大きなコミュニティをつかった大家族のような計画で、そのシステムは農業というものづくりを通して地域の連携ができている。また、子どもたちの居場所をプライベート性の強弱により空間を読み解き、それは個室の配置や天井の高さなど空間変化を多くのスタディから導き出され、子どもたちの心の気持ちを考え、建築の形態にきちんと結び付けられた秀作です。(担当教員:浅井裕雄)



卒業制作 06
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ちょこっと隙間で楽しむ 都会の中の休憩場所

氏江麻弥/福岡県/併修生(麻生建築&デザイン専門学校)/20代

敷地いっぱいに建てられた建物が立ち並び、都市部の風景は全国どこでも変わらない。マンションの形はそれぞれの敷地の都合で変わり、自由に建てられた建物たちによって、そこにあるべき街の風景や個性はなくなった。駐車場にするために設けられた小さなスペース、規制緩和のために設けられたセットバック部分や、仕方なく空いてしまった隣地との隙間。まるで建物も建物自身のことしか考えていないようだ。都市は『人のため』ではなく、『建物のため』になってしまった。誰のための都市なのか。誰のための建物なのか。人と都市を豊かにする、ちょこっとの「スキマ」をつくるための提案をする
PROFILE.
幼い頃から建物に興味があり、将来は建設業で働くことを夢見ていました。建築を学んでいくなかで、もう少し設計を学んでみたいと思い通信教育を受けました。今後は現場監督として頑張っていきます。

COMMENT.
「都市の中で暮らす息苦しさとは?」という問いに、地方都市をケーススタディの 場に回答を見出していく。その過程の中で、駐車場や敷地境界に発生している都市 の「隙間」に建築的空間を挿入し、バラバラだった「隙間」を連続したヒューマンスケー ルの空間に落とし込んでいく。そこには、都市で暮らし人々の日常に癒やしを与え る場や気持ちの良い動線空間が広がっていく。この作品には、従来の敷地ありきの 設計ではない隙間ありきの設計という設計手法の提案を目指している。(担当教員:伊藤潤一、中島潤、永野義紀)



卒業制作 07
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情報と文化のターミナル 博多・日本文化体験型観光拠点

後藤遼河/併修生(麻生建築&デザイン専門学校)

今回、日本や福岡の文化を学ぶことのできるこの施設を計画した。この施設を通して博多や天神へ、はたまた大分などの九州、さらには沖縄から北海道までの日本全体への玄関口のような役割を担う場所となれるようする。
旅行会社や地元がオススメする情報だけでなく、旅行者目線の生の声が多く集う空間で、様々な観光情報を入手しつつ、日本の文化に触れる事で、観光客が分散しやすく、まちに溶け込みやすくなるように計画した。
PROFILE.
私が建築を学ぼうとした目的は、設計職に就くために学びを深めるためです。暮らして行く中で住環境に自分の興味関心が向いていると感じ、建築の道を選びました。設計の楽しさやデザインの奥深さを知り、より良いデザインを生み出すために学んできました。これからは、この学びを生かして、一級建築士となり設計を生業と出来るようにします。

COMMENT.
訪日観光客に福岡・博多の文化を体験し、より身近に感じるための体験施設を計画した作品である。博多の市街地でも歴史の多く残る冷泉地区を計画地とし、近隣の博多祇園山笠の拠点となる櫛田神社などや、地下鉄駅へのアクセスも考慮され観光拠点としての役割も果たしている。木造の軸組が美しく学ぶ造形は日本の伝統的な空間を思わせ、大きな吹き抜けに設けられた階段では多くの人が集う賑やかな空間を予感させてくれる提案である。(担当教員:伊藤潤一、中島潤、永野義紀)



卒業制作 08
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美しい過去になる ~暮らしと海を繋げる防潮堤の提案~

山本佳明/福岡県/併修生(麻生建築&デザイン専門学校)/22歳

海に行くまでに、人は多くの海の要素を五感で感じ取る。海までの空間の変化は、海が作り出す空間のグラデーションである。その空間のグラデーションを断ち切ってしまうのが防潮堤である。空間が断ち切られ、かつての人々の海と繋がりある暮らしも断ち切られてしまった。災害から暮らしを守ってきた防潮堤は、本当の意味で人々の暮らしと海の為のものだろうか。町から海へ向かう町のグラデーションを生み出す防潮堤を創造し、人々と海の繋がりある暮らしを再構築する。
PROFILE.
私が建築を学ぼうとした目的は、設計職に就くために学びを深めるためです。暮らして行く中で住環境に自分の興味関心が向いていると感じ、建築の道を選びました。設計の楽しさやデザインの奥深さを知り、より良いデザインを生み出すために学んできました。これからは、この学びを生かして、一級建築士となり設計を生業と出来るようにします。

COMMENT.
高潮や台風といった自然の脅威から命を守るために築かれた防潮堤。しかしその防潮堤は海と人々の営みの繋がりを引き裂いてしまった。この提案は土木構造物である無機質なコンクリートの防潮堤に軽やかな木造の軸組を架けることで「軒下」という建築的空間に人々の集う場を形成し、コミュニケーションを生むことで、瀬戸内海の美しい海と人々の営みの繋がりを蘇らせようと試みている点が高く評価された。(担当教員:伊藤潤一、中島潤、永野義紀)