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英語の抽象名詞の可算化―抽象名詞と冠詞の共起と複数形―の状態分析

研究室からこんにちは(短期大学)
1. 英語の抽象名詞の使用例の実態

西田(2020) における、抽象名詞の可算化に関する、日本人の誤用が多かった19の抽象名詞について、その使用例をweblioの例文で提示する。

表1. weblioを使用した抽象名詞と冠詞の共起と可算化(weblio 2022.3.15~20






(1)調査
1. NICER:The Nagoya Interlanguage Corpus of English Reborn 1. 1. 1.(2018-04-05)
(杉浦他 2008)のNNS(L2中上級者)に対して、抽象名詞の可算化に関する正用・誤用を調査する。被験者は349名(JPN501~JPN849)。
2. 調査する抽象名詞の誤用(ネイティブチェックが入っているもの)は、①抽象名詞(冠詞は
つかず)、②不定冠詞a(n)+抽象名詞、③定冠詞the+抽象名詞、④定冠詞the+抽象名詞s、
⑤抽象名詞s(冠詞はつかず)、の5パターンに関するものである。なお、冠詞と抽象名詞の
間の形容詞の有無は問わない。
3.抽象名詞の可算化に関する誤用の多かった抽象名詞を特定する。
(2)調査結果
表1は調査の結果、10個以上の誤用があったものである。なお、“sport”も誤用が多かったが“sports”として使用することが圧倒的に多いので、今回の統計処理では省いた。


2. 英語の抽象名詞の使用例における可算化傾向とその分析

表1のように、抽象名詞は本来無冠詞で、可算名詞としての不定冠詞a(n)との共起や、複数語尾の(e)sがつくことはないはずであるが、実際は存在している。また、本来の無冠詞の抽象名詞の使用がかなり少なくなっていることある(job)。表1において、抽象名詞の可算化に関する使用例を提示したが、その使用例の数に差はあるが、すべての項目で存在していることは抽象名詞の可算化の実態を知る上で価値がある。
本来、不可算である抽象名詞の可算化の段階は、①複数語尾の(e)sがつく、②不定冠詞a(n)がつく、が考えられる。①の方が②より、具象化の段階が低く、可算化の段階も低いと考えられるが、数詞がつかない場合は、抽象名詞としての可算化の状態は共にさほど進んでおらず、普通名詞化も進んでいない。普通名詞とは、不定冠詞a(n)のみならず数詞がつき、複数語尾(e)sもつく名詞であり、具象名詞のみならず抽象名詞もこの状態になる場合がある(job)。
job , systemのように抽象名詞の本来の形である無冠詞のものがほぼ存在しないことは、この2つの名詞の具象化の段階、可算化の段階が進んでおり、普通名詞化していることがうかがえる。なぜ、普通名詞化が進んでいるのかは、使用の頻度が非常に多く、言語は簡易化の方向に進む傾向があることにも相まって生じた結果だと推察される。

参考文献・参考URL
杉浦正利、阪上辰也、成田真澄 (2008) 「学習者コーパス『NICE』の構築」 杉浦正利(代表研究者) 「英語学習者のコロケーション知識に関する基礎的研究」(平成17-19年度 科学研究費補助金基盤研究(B) 研究成果報告書:課題番号17320084), pp. 1–14.
西田一弘 (2020) 「日本人L2中・上級学習者の英語抽象名詞の可算化に関する定性、 
特定性からの正用・語用分析」『地域活性化研究第19号』 岡崎大学懇話会 
weblio英和辞典・和英辞典 https://ejje.weblio.jp/(2022.3.15~20検索)     (KN)