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研究室からこんにちは(国際コミュニケーション学科 川崎直子)

研究室からこんにちは(短期大学)
 2021年も終盤に近付き、新型コロナウイルスの感染拡大が徐々に収まっているような印象です。愛知県知事が「第6波は必ず来る」とニュースで話していましたが、それがいつなのか誰にもわかりません。まずはこのwithコロナの間に習慣になった、マスク、手洗い、消毒、社会的距離の確保、換気、検温実施は今後も自分の体調管理のために大切でしょう。

 コロナが拡大するに伴って、私たちは今まで聞いたことのない新しい言葉に次から次へと触れるようになりました。それは手話の分野でも同様で、コロナ関連の新しい用語に対応する手話が作られています。『標準手話ハンドブック 新型コロナウイルス関連用語』という冊子では、最初の手話説明が「コロナウイルス」です。最初に左手で「C」を作るということでコロナを表すのでしょう。
ちなみに、新しい言葉の手話表現は、京都にある全国手話研修センター日本手話研究所など、厚生労働省から委託された幾つかの団体が、言語サインを研究し作っているそうです。たとえば、「スマートフォン」、「LINE」を表すサインもこれらの団体で作られたとのことです。


出典:『標準手話ハンドブック 新型コロナウイルス関連用語』p.2より抜粋


 コロナ関連の用語として、パンデミック、クラスター、ロックダウンなど聞きなれない英語の単語もありましたが、緊急事態宣言下では「不要不急の外出は控えるように」というスローガンがあらゆるところで見られました。「不要不急」という言い回し自体は特に新語とは感じませんが、政府から国民に対して行動自粛をするようにと伝える際に必ず使われる用語になりました。これは、どうしても必要ではない、何も急いでする必要もないことという意味です。では、その逆にどうしても行かなくてはいけない、自分にとっては「不要不急」ではない用事の場合どう言うのでしょうか。「不要」の反対語は「必要」ですが、「不急」の反対語は「火急」「緊急」「至急」ですから、「必要火急」とか「必要緊急」「必要至急」となるようです。「火急」そのものは、「火急の事態」「火急の連絡」のように使います。実例を探してみたところ、「緊急事態」と「必要火急」を組み合わせた表現がありました。2020年4月21日「福岡県赤十字血液センター北九州事業所」の「命をつなぐ!緊急事態時でも献血は必要火急!!」という文章です。緊急事態宣言下でも献血に協力することは不要不急ではない、献血は必要火急である、ぜひ協力してもらいたいという緊急性と医療従事者の方の切実な訴えが届く一文です。

 100年前の1918年に始まったスペイン風邪は世界的大流行を引き起こして、最後は1920年頃脆弱なインフルエンザになっていつの間にか収束したと伝えられています。今回の新型コロナウイルスの終わりはいつなのでしょうか。そして、100年後の人たちは、歴史の教科書に掲載されるであろうコロナのパンデミックに翻弄されたこの時代をどう評価するのでしょうか。



〈参考資料〉
『標準手話ハンドブック 新型コロナウイルス関連用語』
https://www.normanet.ne.jp/~ida/c19-signs-handbook.pdf,一般財団法人全日本ろうあ連盟(2021年10月27日検索)
『研究紹介ファイル No.10 武居渡氏』
https://www.hakuhodofoundation.or.jp/subsidy/report/introduction/no10.html,博報堂教育財団(2021年10月28日検索)
『福岡県赤十字血液センター北九州事業所・2020年4月21日』
https://www.facebook.com/108660162630170/posts/1562945627201609/,facebook(2021年11月5日検索)