ブログ

ボランティアを通じて外国の人々に接する(国際コミュニケーション学科 寺澤陽美)

研究室からこんにちは(短期大学)
みなさんは、何かボランティア活動をしたことがありますか。
国内外、日本各地でさまざまな災害が起きており、近年、日本でさまざまな場面でボランティア活動が広まりつつあるようです。スーパーボランティアなる人が一躍脚光を浴びたニュースは、記憶に新しいのではないでしょうか。
多くの自治体には大規模災害の際に困りごとを抱えた外国の人たちを支援するためのボランティア制度があり、私自身は名古屋市で災害語学ボランティア要員として登録しています。
主な活動内容は、「地震等の大規模な災害時に、日本語の理解が十分でなく、必要不可欠な情報を得ることが困難な外国人を支援するため、区役所や避難所での通訳・翻訳、情報収集・提供等の活動」で、「平常時では、外国人を対象とした防災啓発活動・訓練等での通訳」などを行います。
実際に災害時の活動というのは幸いにもこれまでのところありませんが、万一の際に適切な活動ができるよう、日ごろから必要な情報収集などに努めるようにしています。先日、研修活動の一環として、この地域に住む外国人の方々からお話を聞く機会がありました。

ネパール出身の大学院生の女性は、来日十年以上で日本の文化や生活になじんでいるようでしたが、ヒンドゥー教では牛は神聖な動物として崇拝の対象であるため、いくらおいしそうな日本食であっても牛肉が入っていると食べることができず困ることがあると、とても流暢な日本語で語ってくれました。
また、タンザニア出身の男性は、加熱調理されたものを食べる習慣のため、新鮮であっても生ものを口にするのはためらうそうです。例えばバナナも加熱調理しておかずとして食べる種類のものが一般的とのことでした。
一方、ベトナム出身の女性は、日本で生活する中で、これまでに近隣の人たちとちょっとした摩擦が生じたことがあるそうです。友人らと自宅で集まって食事をする際には、大勢で楽しくにぎやかに過ごすのが習慣でしたが、それが騒がしいと近所の人から注意されたことがあるのです。所が変わると騒がしさの感覚も変わるものです。以来、日本では自宅での家族団らんの時も電車の中でのおしゃべりの時も、あまり大きな声にならないように、彼女にとっては常に気を遣うことのことでした。

今回外国出身の人たちから話を聞き、日本での滞在経験も長く日本語も堪能であっても、言葉の問題だけではなく、異なる文化や習慣を持つことによる問題があることがよくわかりました。
日本に来ている外国人にとっては、日本人には考えられないような異なる風習や習慣があって、平時の何気ない生活の中でも様々な摩擦が生じるのですから、有事の際には、それが耐えがたいトラブルやストレスの原因になるであろうことは想像に難くありません。
総務省により多文化共生推進プログラムが進められていますが、外国人訪日客だけでなく、身近な地域に共に暮らす外国出身の人々への理解を日ごろから様々な活動を通じて深めようとすることが大切であると、改めて考える機会となりました。