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専門ゼミナールAあるいはボードゲームの世界への誘い(国際コミュニケーション学科 髙野盛光)

研究室からこんにちは(短期大学)
みなさんはゲームが好きでしょうか。ふだんゲームをしているでしょうか。専門ゼミナールAではゲームの中でもボードゲーム(カードゲームを含めてここではボードゲームと呼びます)、しかも有名なゲーム機やパソコン等のディジタル機器を用いないアナログゲームを扱います。
 専門ゼミナールAのシラバスには、

アナログ(ボード)ゲームの持つ文化的価値、教育的価値についてゲームを実際にプレイすることを通じて考察し、戦略、ルールメカニズムを分析、理解、活用する能力を身に付ける。

世界的には(ドイツの)ボードゲームは毎年数百の新作が生み出されており、文化として生活の中に根付いている。

と紹介しています。しばしば指摘されるように日本でいわゆるテレビゲームが発展していく同じ時期ドイツではアナログのボードゲームが発展していきます(正確には人間による営みですので「発展させていく」ですが)。専門ゼミナールAではそうしたドイツで花開くことになったボードゲーム-ドイツゲームと称され、近年ではユーロゲーム、ピュアユーロ、アメリトラッシュ等さまざまに称されるに至っている-を取り上げています。日本でもお笑い芸人がアナログゲームを番組内でプレイしたり、Youtubeでルール紹介動画、プレイ動画が配信されたり、ゲームマーケットが開催されたりと注目を集めている感があります。授業ではいくつかのボードゲームを取り上げて、実際にプレイして戦略を考察したり、ルールやメカニクスの構造を分析したり、さらには同じゲームが国によって形を変えて受容されていることについて考察をおこないます。

 授業で考察することになる、ルールとメカニクスとの違いについてここではジャンケン-ボードを用いるゲームではありませんが-を例に考えてみましょう。ジャンケンは日本では「グー」、「チョキ」、「パー」の3つの手を用いて勝敗を決めるゲームです。ルールでは

1.参加者がグー、チョキ、パーの3つの手の中から任意の1つの手を決める。
2.1で各自が決めた手を同時に出す。

等の手順に関するルールと

・グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝ち、パーはグーに勝つ(いわゆる三すくみ)

等の勝敗条件に関するルールとに大きく分けることができます。ここでは大雑把に「ルール
とはゲームの手順や(勝利)条件を言語化したものである」ぐらいに捉えておきます。
 ルールの中で「同時に出す」、「三すくみになっている」はジャンケンをゲームとして成立させるために不可欠な要素です。他の参加者より自分一人が遅れて手を出す「後出しジャンケン」がジャンケンゲームを崩壊させることは言うまでもないでしょう。また日本ではグー、チョキ、パーとしてよく知られていますが、海外ではそれぞれrock、scissors、paperと称されることもあるように手の呼称はジャンケンをゲームとして成立させる本質的な要素ではありません。本質的な要素は「三すくみの関係になっている」ことの方です。この「同時に出す」、「三すくみ」のようにその要素が欠けるとゲームが成り立たなくなるようなもののことをメカニクスと呼びます(これも大雑把な説明ですけれども)。同時に出すことがメカニクスとなっているものとしては、他にはトランプの「戦争ゲーム」などがあります。
 授業ではジャンケンよりも複雑なさまざまなゲームのうちからいくつかを取り上げます。最近では日本でもボードゲームカフェの数が増え、また、オープン、クローズドを問わずいろいろなゲーム会が開催されるようにようになっています。専門ゼミナールAを通してボードゲームの世界をみなさんものぞいてみませんか。