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研究室からこんにちは(国際コミュニケーション学科 川崎直子)

研究室からこんにちは(短期大学)

 2022年4月7日午前9時半過ぎ、愛知県東部地域で震度3の地震がありました。その時私は岡崎市の本学5階で、通学部の4年生の学生三人とeラーニングサイトの整備作業をしていたのですが、作業開始と同時に一瞬ドーンと下から突き上げる強い揺れがありました。私はすぐ避難経路確保のため入り口のドアを開けに行ったのですが、学生三人は誰に言われるでもなく、素早く手で頭を覆って全員が一斉に机の下に身を隠しました。
 
 幸い揺れはその一回だけで終わりましたが、周りを確認しながら机の下から出てくる三人の姿を見て、日本人は地震を感知するやいなやこんなに迅速な行動ができるのかと感動しました。これも地震大国日本が、幼稚園の頃から定期的に避難訓練を繰り返し行ってきた賜だと思いました。避難の手順を体に染み込ませて、有事の際何も考えなくても適切な行動につなげられることこそ、日頃の訓練の目的なのでしょう。

 来日外国人のなかには、日本に来て生まれて初めて地震を経験したという人もいます。そのため、各地では行政や外国人支援団体が防災セミナーを開催しています。岡崎市のNGOは、日本人住民も含めた地域の外国人住民を対象に、小学校の体育館で寝泊まりするという宿泊型避難訓練の合宿を行っています。体育館の床で寝るということは、床の硬さや寒さ、暑さにも耐えなくてはいけないのですが、その体験合宿で皆が困ったことの第一位として挙げたのが、「他人のいびき」だったそうです。

 私が運営する一般社団法人でも防災セミナーを開き、日本人住民、外国ルーツの子ども、外国人住民、行政、近くの日本語学校の留学生、外国人技能実習生、婦人会、防災ボランティア団体の参加がありました。セミナーでは、「やさしい日本語」での情報の伝え方、そして手話と「やさしい日本語」の作り方には共通点があるため、手話通訳の方にも協力していただいて講座を開きました。また、フードバンクやNEXCO中日本で賞味期限切れ近い大量の防災食を寄付してもらって試食も行いました。宗教上の理由で支給される食べ物を口にできない外国人のために、ハラール認証取得済みのロールパンの試食やモスクの宣教師さんに豆カレーの作り方を習いました(ハラールとはイスラム法において合法なもの)。

 

 この地域で被災した場合、避難所での外国人住民は要支援者ではなく、自ら支援者としても行動できる人材です。「できますゼッケン」に、子どものお世話、料理、掃除、通訳など、自分ができることを書いて背中に貼りました。こうして少しずつですが、多文化共生を目指して日本人住民と外国人住民を結びつける活動を続けていきたいと思います。