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東京オリ・パラと多様性(国際コミュニケーション学科 寺澤陽美)

研究室からこんにちは(短期大学)
2021年夏、東京2020オリンピック競技大会(the Olympic Games Tokyo 2020)が当初の予定から一年遅れで開催され、熱い戦いと感動が繰り広げられました。
新型コロナウイルス感染症との闘いが続く中、開催の是非を含めさまざまな問題が噴出し、話題と議論の絶えない大会でした。
今回の記事では、オリンピックを通じての雑感を述べたいと思います。

東京2020オリンピックでは、「多様性と調和」が基本コンセプトとして掲げられました。
開会式で、日本の選手団の旗手として先頭に立ったのはバスケットボール男子の八村塁選手、聖火リレーの最終走者はテニス女子の大坂なおみ選手で、テレビなどを通じて観ている人々に、大きなインパクトを与えました。
八村選手は西アフリカの国ベナン出身の父と日本人の母、大坂選手はハイチ系アメリカ人の父と日本人の母を持つというバックグラウンドがあります。
この二人が今回、旗手や聖火リレーの最終走者に起用されたのは、それぞれのバックグラウンドと世界で活躍する姿が、多様性の象徴となると評価されたからだと言われています。

二人とも世界的に活躍するスポーツ選手として知られていますが、日本ではいわゆる「ハーフ」と呼ばれる存在です。
さて、では英語で‘I am a half.’というと、「あなたは半分?」となり、うまく理解されません。
代わりに、‘I am American-Japanese.’(アメリカ系の日本人、アメリカ人と日本人のハーフ)、あるいは‘I am half-American, half-Japanese.’の他、‘I am (of) mixed race.’などという言い方があります。
ただし、必ずしも国籍や肌の色などからは一元的に決められるわけではないようです。
また、人によっては特定の呼ばれ方を快く感じない人もおり、歴史的背景や国際関係、個人の体験などの要素が影響する、複雑な問題です。

一口に多様性といっても、今回のオリンピックでは、この他にも、さまざまな多様性に関連する問題が表出しました。
女性への差別発言問題と大会直前の役員交代劇、開会式で国歌斉唱した歌手のMISIAさんは性の多様性を象徴するレインボーカラーのドレスで登場したこと、大会参加中に選手がLGBTQ(性的マイノリティ)を公表したこと、体操女子のドイツチームがレオタードに替えてユニタードを身につけたこと、ビーチハンドボール・ノルウェー女子選手たちのビキニ拒否問題等々です。

今回の東京オリンピックが、さまざまな人種、宗教、出自や背景、性差と差別、個性と特徴、考え方を持つ多様な人々について考え、他者を馳せるきっかけとなる大会であったならと考えます。

オリンピック(the Olympic Games)が終わり、パラリンピック(Paralympic Games)へと続きます。
オリンピアン(Olympian)に続き、パラリンピアン(Paralympian)たちの舞台が間もなく始まります。


※参考サイト・資料
東京都オリンピック・パラリンピック準備局
https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/index.html(2021年8月20日閲覧)
Bureau of Olympic and Paralympic Games Tokyo 2020 Preparation
https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/eng/(2021年8月20日閲覧)
東京都人権啓発センター(2019年)「ハーフ」と呼ばれる人々 「日本人」と「外国人」のはざまを生きる,TOKYO人権 第81号,
https://www.tokyo-jinken.or.jp/publication/tj_81_feature.html(2021年8月20日閲覧)