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外国にルーツをもつ子どもたちの支援について(国際コミュニケーション学科 川崎直子)

研究室からこんにちは(短期大学)
 日本語教育コース担当の川崎です。今日は、増加し続けている外国人の来日にともなって同伴される子どもたちの日本語支援についてお話ししたいと思います。 
下のグラフをご覧ください。これは文部科学省が2019年9月末に公表した〈「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」の結果について〉です。 



 このグラフから、過去10年間で日本語指導が必要な児童生徒は全体で約1.5倍の増加、日本語指導が必要な外国籍児童生徒は約1.4倍、日本国籍児童生徒は約2.1倍の増加となったことが読み取れます。グラフのタイトルにもなっている「日本語指導が必要な児童生徒」とは誰を指すのでしょうか。文部科学省は、「「日本語で日常会話が十分にでき ない児童生徒」及び「日常会話ができても、学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じており、日本語指導が必要な児童生徒」を指す 」としています。
 外国籍だからと言っても、日本生まれ、日本育ちの子どもで日本語力が年齢相当身についていれば、学校の勉強に付いていけないケースばかりではありません。むしろ、保護者のどちらかが日本人で(多くの場合父親)、様々な事情によって子どもは海外で育ち、学齢期に日本に呼び寄せられた日本国籍の子どもの方が日本語指導を必要としています。そのため、多様化している外国にルーツをもつ子どもたちの様相は、「外国人の子ども」とか「外国籍の子ども」などという表現では十分とは言えません。
 日本語指導の現場では、子どもたちの国籍はまったく問題ではありません。目の前の子どもがどの程度日本語に困っているのかに焦点を当てて、支援が始まります。日本語を聞いて話せて、ある程度日本語が理解できる子どもと、昨日来日したばかりの子どもとでは指導の仕方も違ってきます。
 私の地域では、日本語指導は公立小学校の日本語教室で行われています。愛知県では日本語指導が必要な子どもが10人在籍していると、「加配教員」といって一人特別に日本語教室担当の先生が付きます。学級担任が教科学習に困難を抱き特別に日本語指導が必要だと判断した場合、保護者の同意を得て日本語教室でその子どもを指導します。所属学級が日本語や社会など、日本語がわからなければ付いていけない科目を学習しているときのみ、空き教室に設置された日本語教室にその子どもだけ「取り出す」という形態です。日本語教室は外国にルーツをもつ子どもたちでにぎやかです。
 私は2004年からすでに15年間、継続して外部からの日本語指導補助員として加配の先生をお手伝いしています。支援当初の15年前は中南米の子どもが多かったのですが、最近はフィリピンやベトナム、タイ、トルコなど子どものルーツも多様です。
 私たちは、外国にルーツをもつ子どもたちのために「夏休み宿題教室」を実施しています。家庭では、日誌と呼ばれる毎日するワークブック、理科の自由研究、児童画、工作、読書感想文、標語入りのポスターなど多岐にわたる宿題を保護者主導はでなかなか完成させられないため、4年前から教室を開いています。理科の自由研究などは、全学年で一斉に行っています。行政が予算化して実施していますが、財政的に余裕がないため、できるだけ材料費のかからない題材を探さなくてはいけないので毎年大変です。下の写真は昨年度「ハーバリウム実験」を行ったものです。ハーバリウム教室を主宰されている短大の卒業生が、用具も花材も全面的に協力してくださって、ボトルに入れる専用のオイル、水、サラダ油では2週間後に花材がどのように変化するのか/変化しないのか、そのプロセスを観察して理科の研究ノートを作成しました。


 現在、来年以降の理科の実験テーマを考え中です。費用がかからなくて、低学年でも楽しく参加できるようなテーマがあったら、ぜひ教えてください!!