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2024年2月号「研究室からこんにちは」(松野澄江)

研究室からこんにちは(短期大学)
Political Correctness


皆さん、こんにちは。今回は松野がブログを担当します。

皆さんはPolitical correctnessという言葉を知っていますか。あらゆる差別や偏見をなくし、すべての人が尊重される社会を目指そうとする考え方です。日本語でもPolitical correctness という考え方から多くの言葉が変更されました。例えば、「スチュワーデス」は「客室乗務員」に、「看護婦」は「看護師」に、学校でも、現在は男女問わず、「~さん」が主流となり、以前の「~くん」「~ちゃん」の呼び方はなくそうという傾向にあります (読売新聞オンライン)。これには、いじめ問題も絡んできますが、性同一性障害の生徒達にも対応するためであります。つまり、性同一性障害の生徒も差別されることなく受け入れるための敬称「~さん」であります。

では英語ではどのような変化が起こっているでしょうか。今回は英語におけるPolitical correctnessを、ほんの少しですが、人種、性、身体表現に関して、お伝えします。
 
まず一つ目に人種表現が「ルーツ+国籍」に変更されてきています。例えば、日本にルーツをおくアメリカ人はJapanese Americanと呼ばれています。昔、私がアメリカに居たときには、日本人は”Yellow”と呼ばれたこともありました。また、以前、黒人は ”Black”と呼ばれていましたが、現在はアフリカ系のアメリカ人は”African American”と変更になってきています。
 
二つ目に、性差別的な表現も変更になっています。例えば、様々な単語についた “man” という表現が変更されています。”man”は男性優位の印象を与えるからです。以下がその例です。

・ policeman → police officer
・ fireman → firefighter
・ salesman → salesperson
・ chairman → chairperson

また、人型に抜かれたジンジャーブレッドマン(gingerbread man)を知っていますか。クリスマスシーズンのよく売られるクッキー菓子です。近年は、性差別をなくすという面から、ジンジャーブレッド・ピープル (gingerbread people) やジンジャーブレッド・パーソン(gingerbread person)と呼ばれるようになってきています。
また、結婚している女性を表す敬称”Mrs.“や未婚の女性を表す “Miss”は、結婚しているいないに関わらず、女性の敬称 “Ms.”が使われるようになりました。男性は、既婚・未婚に関わらず、”Mr.”であることを考えると、”Mrs.”や “Miss”は本当に性差別であったと思います。


身体に関わる偏見的な表現も変更になっています。例えば,
以下のような表現です。

・ deaf → hearing impaired
・ blind → visually impaired
・ old people → senior citizens

人種差別撤廃条約は、1965年の第20回国連総会において採択され、1969年に発効され、日本は1995年に加入しました (外務省 2021)。2020年時点では、署名国数88、締約国数182になっています (外務省 2020)。それだけ多くの国々が賛同しているにもかかわらず、人種差別に関するニュースは後を絶ちません。Political correctnessの考え方が言葉だけではなく、人々の心の中に広がることを願います。
今回は、ほんの少しですが、Political correctnessによる英語の言葉の変更を取り上げました。その他にもまだまだたくさんあります。興味がある方は、ぜひ一度で調べてみてください。

参考文献
外務省 (2020) 人権外交 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/table.html
外務省 (2021)人権外交 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/
読売新聞オンライン (2022.5.18)「あだ名」「呼び捨て」は禁止、小学校で「さん付け」指導が広がる https://www.yomiuri.co.jp/national/20220528-OYT1T50150/