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愛知県一宮市教員研修会 紙版画講座 (建築学科 山口雅英)

研究室からこんにちは(建築学科)
8月19日、愛知県一宮市の小学校・中学校教員対象研修会で紙版画講座の講師を担当しました。一度の講座でしたが小学校、中学校それぞれに異なる技法を紹介し、制作に取り組んでもらいました。
講座でのデモンストレーションをまとめた動画とその内容を紹介します。

<中学校:紙版ドライポイント 瓶バレン刷り>
https://youtu.be/O2xEVk8NW3I
中学校美術の教員を対象とした紙版画講座でのデモンストレーションです。
教材として扱いやすくするためのいくつかのポイントがあります。
ポイント1 「瓶バレンによる下絵転写」
下絵は3B 、4B の柔らかい鉛筆で描き、瓶を使って版面に擦り付ける転写方法です。 トレーシングペーパーを使った下絵転写では何度も同じ絵を描くことになりますが、この方法であれば絵を描くのは一度ですみます。 左右を間違えることはありません。 面も簡単に転写できるので、下絵で計画した濃淡を表現しやすくなります。
ポイント2 「描画用具」
ドライポイントではニードルを使うのが一般的ですが、今回の講座ではボールペンを使っています。滑らかで動かしやすく、入手しやすいです。 面は表面を剥がすやり方とサンドペーパーで擦るやり方を紹介しています。
ポイント3 「プレス不要の瓶バレン刷り」
今回もっとも大きなポイントとなります。 プレス機は扱いも難しくまた危険な道具でもあります。台数に限りがあるため待ち時間も増えます。瓶バレン刷りならば各自が自分の机で作業ができます。刷りの効果はプレス機と比べても大きく劣るものではありません。 その他、手を汚しにくくする工夫も紹介してます。

<小学校:紙やすりを台紙にする紙版画一版多色刷り>
https://youtu.be/C5zi4_ME64k
図柄のパーツを切り抜き、貼り重ね図柄を構成するところは従来の紙版画と同じです。台紙にサンドペーパーを使用するところがこの技法の特徴です。サンドペーパーは表面に細かい凹凸があるため、インキで汚れてもその汚れが作品用紙につきにくくなります。こうすることで図柄のインキはしっかりと刷り取られ、図柄以外の汚れ(サンドペーパーについたインキ)はほとんど刷りとられないため、図柄のフォルムを明瞭に表現することができます。そこを押さえて作業すれば手を汚すことも少なくなります。 またここで紹介する技法には他にも三つの工夫があります。
ポイント1 「ボールペンによる描画」
一般的な紙版画は面表現が中心ですが、ボールペンの描画による線表現を加えています。
ポイント2「スポンジによるインキセット」
インキはローラーで乗せるのが一般的ですが、ローラーでは基本的に一色のインキしかのせることができません。しかし、スポンジならば任意に色を置き分けることができます。塗り絵のように細かく色分けすることはできませんが、黒一色とは違う、色とりどりの作品を作ることができます。スポンジにより粒状についたインキのテクスチャーや版面での混色はこの技法ならではの味わいとなります。スポンジは使い捨てなので洗浄したり片付けたりする手間を省くことができます。ローラーと比べインキの使用量が少ないのも利点と言えます。
ポイント3「掌刷り」
バレンを使わず掌で刷ります。作品用紙の裏から透けて見える図柄の様子をみながら、指先と掌を使い分けたり、力の強弱を調整したり、特定の部分だけに更に力を加えたりなどフレキシブルな刷りが可能となります。バレンの準備、片付けの手間を省くことができます。