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平成30年版犯罪白書のあらまし(国際コミュニケーション学科 横瀬浩司)

研究室からこんにちは(短期大学)
『平成30年版犯罪白書』は,平成30年12月21日の閣議に報告され,同日公表された。『平成30年版犯罪白書』のあらましは,次のとおりである。

1 刑法犯の認知件数と発生率
刑法犯の認知件数は,平成8年から毎年戦後最多を記録し,14年には285万4,061件にまで達したが,15年に減少に転じて以降,15年連続で減少しており,29年は91万5,042件(前年比8万1,078件(8.1%)減)と戦後最少を更新した。15年からの認知件数の減少は,刑法犯の7割以上を占める窃盗の認知件数が大幅に減少し続けたことに伴うものである。10年と比較すると,窃盗については,29年の認知件数(65万5,498件)は10年の認知件数(178万9,049件)より63.4%少ないが,窃盗を除く刑法犯については,29年の認知件数(25万9,544件)は10年の認知件数(24万4,497件)より6.2%多い。
刑法犯の発生率の動向は,認知件数とほぼ同様である。平成8年(1,439.8)から毎年上昇し,14年には戦後最高の2,238.7を記録したが,15年から低下に転じ,25年からは毎年戦後最低を記録している。

2 刑法犯の検挙人員
刑法犯の検挙人員は,平成13年から増加し続け,16年に38万9,297人を記録した後,17年から減少に転じ,25年からは毎年戦後最少を記録しており,29年は21万5,003人(前年比1万1,373人(5.0%)減)であった。
平成29年における刑法犯の検挙人員の罪名別構成比は,窃盗が50.8%と最も高く,次いで,暴行(12.0%),傷害(9.8%)の順であった。
平成29年における刑法犯の検挙人員を罪名別に見るとともに,これを男女別に見ると,男女共に,窃盗による検挙人員が最も多い。

3 刑法犯の検挙率
刑法犯の検挙率は,平成7年から毎年低下し,13年には19.8%と戦後最低を記録したが,14年から回復傾向にあり,一時横ばいで推移していたものの,26年以降再び上昇しており,29年は35.7%(前年比1.9pt上昇)であった。

4 主な刑法犯の動向
殺人の認知件数は,平成16年から減少傾向にあり,28年は戦後最少の895件であったが,29年はわずかに増加し,920件(前年比25件(2.8%)増)であった。検挙率は,安定して高い水準(29年は101.1%)にある。
強盗の認知件数は,平成15年に昭和26年以降で最多の7,664件を記録した後,平成16年から減少傾向にあり,29年は1,852件(前年比480件(20.6%)減)であった。検挙率は,17年から上昇傾向にあり,29年は82.1%(同1.6pt上昇)であった。
傷害,暴行及び脅迫の認知件数は,いずれも平成12年に急増した。傷害の認知件数は,15年(3万6,568件)まで増加していたが,20年以降は2万件台で推移しており,29年は2万3,286件(前年比1,079件(4.4%)減)であった。暴行の認知件数は,18年以降おおむね高止まりの状況にあり,29年は3万1,013件(同800件(2.5%)減)であった。脅迫の認知件数は,24年に急増し,29年は3,851件(同151件(4.1%)増)であった。いずれの検挙率も,16年前後からおおむね上昇傾向にある。

一度,データから犯罪を見るのもよいかもしれない。
『平成30年版犯罪白書』の詳細は,以下の法務省ホームページを参照。

http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/65/nfm/mokuji.html