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「外国人受入事業」について(国際コミュニケーション学科 川崎直子)

研究室からこんにちは(短期大学)
こんにちは。日本語教育コース担当の川崎直子です。
近年みなさんが、外国人が増えたなあと感じられるのはどんな場所ですか。コンビニエンスストアや居酒屋ですか。特にコンビニでは、日本人の従業員を探すほうが難しいという地域もありますね。都会であればあるほどその傾向は強いでしょう。法務省入国管理局によると、昨年末の外国人の数は256万1,848人で、前年度と比べて17万9,026人増加しました。これは調査が始まって以来、過去最高だったそうです。
ここから少し、愛知産業大学短期大学のキャンパスがある愛知県の状況について見ていきたいと思います。愛知県は基幹産業があるため外国人が多い県で、外国人人口が東京に次いで全国第二位の234,330人です。愛知県内の総人口が7,523,031人ですから、外国人が全体に占める割合は3.1%ということになります。このような地域性もあり、愛知県では、女性の活躍促進と家事支援ニーズに対応するため、国家戦略特別区域制度を活用して、県内で家事支援活動を行う外国人材を受け入れる「家事支援外国人受入事業」を実施することになりました。「国家戦略特区」とは、“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することです。愛知県では今年度6月末から始まったばかりの事業なため、具体的にはまだどのような形態で実施されるかは未発表の段階です。
内閣府によると、昨年から国家戦略特区を活用して外国人の家事労働が行われている神奈川県が家事労働の希望者をフィリピン国内で募ったところ、日本人と同等の賃金などの条件面も含めて、日本で働くことに魅力を感じている人たちからの応募が100人を超えたとのことです。

家事労働サービスを利用するに当たって、利用者側には派遣業者に家の鍵を預けることが条件です。また、派遣業者は家事労働の外国人を利用者宅に住み込みで働かせてはならず、日本人と同等の給料を支払うことなどが義務付けられています。では、特区では実際にどんなサービスが受けられるのでしょうか。基本的なサービスの内容は、掃除、買い物、食事の準備、洗濯、アイロンがけなどのハウスキーピングです。なかにはお子さんの英語教育もと謳っている派遣業者もあり、英語が得意な人が多いフィリピン人家政婦さんならではのPRなのかもしれませんが、家事労働に子どもの外国語教育まで組み込むとなると、「家事支援外国人受入事業」の主旨から離れる気がします。
もっとも気になる料金ですが、1回2時間、月2回の利用で10,000円だそうです。これを高いと考えるか妥当だと考えるかは、利用者次第です。将来的に、家事支援外国人受入事業がさらに進めば、市場規模が年6千億円になるとの試算も出ています。介護士候補者への日本語教育に続き、家事支援事業における日本語教育がこれからどんな形で進んでいくのかとても興味深いです。
2018年6月、いわゆる『骨太の方針』で外国人労働者の受け入れを拡大していくことを打ち出した政府が、これは移民政策ではないと強調している点も含めて、外国人の受け入れ態勢を十分に整えたうえで事業遂行ができるのかどうか、今後も注目していきたいと思います。


〈参考URL〉
SankeiBiz:http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170114/mca1701140500007-n1.htm(2018年7月8日検索)
要請書「新たな外国人材の受入れについて」愛知県:
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/kikaku/aratanagaikokujinzai.html(2018年7月10日検索)

国際コミュニケーション学科 川崎直子