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KAMIHANGA国際プリント展 (建築学科 山口雅英)

研究室からこんにちは(建築学科)
 私山口は本学で造形教育全般を担当していますが、専門は紙版画版画作家。世間ではあまり知られいない紙版画を普及させるべく表現力向上のための技法研究に取り組んでいます。

 東京日本橋に「ギャラリーカノン」という画廊があります。オーナーの高橋睦美さんは版画作家でもあります。私のところで紙版画を学び今東京で作家活動をしている卒業生の紹介で紙版画を知った高橋オーナーは紙版画の可能性に高い関心を寄せられ、一昨年、昨年そして今年と紙版画だけの展覧会を企画、開催されました。東京の作家さんに加え、私と私のところで紙版画を学んでいる学生13人が出品しました。この展覧会で手応えを得た高橋オーナーは更に紙版画の普及に努めたいと、おそらくこれまで前例のない紙版画だけの国際コンクールを企画し、高橋さんと東京の作家4人、そして私が発起人となり準備を進めてきました。

 紙版画は日本が発祥の地。時は1956年、小学校、中学校で木版画教育が盛んに行われるようになった中、版画作家であり教育者でもある大田耕士氏が彫刻刀の使えない低学年の子どもにも楽しめる版画として考案したのが紙版画です(ちなみに大田耕士氏はジブリの宮崎駿の義父)。「紙版画」をあえて英訳せず、日本語をアルファベット表記でKAMIHANGAとしたのは、日本の文化として世界に発信したいというねらいもあります。
 紙をいろいろな形に切り、貼り重ね図柄を作った版にローラーでインキを乗せバレンで刷る、誰もが小学校で経験しているかと思います。しかし紙を使った版画の技法はそれだけにとどまりません。紙は簡単に多様な加工ができる素材です。多様な加工ができるということは多様な技法が可能だということです。これが紙版画の魅力です。

 紙版画は版画作家の手法としては主流ではありませんが、それでも国内外で紙版画で制作する作家は決して少なくありません。インターネットを通じいろいろな作家さんがそれぞれに工夫を凝らした表現に取り組んでいるのをみることができます。こうした作品がギャラリーに一堂に会するのを今から楽しみにしています。

KAMIHANGA国際プリント展 公式サイト
https://note.com/kamihanga_2025

KAMIHANGA国際プリント展2025