もともと「海外で働きたい」という漠然とした憧れがありました。中でも、旅行で訪れたベトナムの国全体から感じるエネルギーと活気に圧倒され、強く惹かれました。当時のベトナムは日本語ブームの真っ只中にあり、「日本語を学びたい」「日本で働きたい」と願う人々が多く、日本人というだけで歓迎される場面も多々ありました。その姿を目の当たりにし、「この国の成長に貢献することで、自分自身も成長できるかもしれない」と強く感じました。
高卒だった私がベトナムで働くには何か専門的なスキルが必要だと考えるようになりました。そこで、どんな仕事や資格があるのかを調べる中で出会ったのが、日本語教師という職業です。日本語教師になるなら、知識と指導力をしっかりと身につけたいと考え、たどり着いたのが愛知産業大学短期大学でした。通信制であれば仕事と学業の両立が可能ですし、日本語教育を体系的に学べる点も非常に魅力的でした。また、大学ではなくまずは短大で学ぶことで、自分に適性があるかを見極めたいという気持ちも後押しになりました。
学びの中で特に印象深かったのは、「日本語教育事情」の授業です。川崎先生の講義は非常にわかりやすく、知的な探求の面白さに目覚め、初めて「勉強が楽しい」と心から思えた貴重な経験でした。外国にルーツを持つ子どもたちが、日本社会でさまざまな壁に直面している現実を知り、日本語教育の社会的な意義を改めて実感しました。スクーリング後には先生やクラスメイトと食事会に出かけることもあり、同じ志を持つ仲間たちとの出会いは、学びを続ける上で大きな支えとなりました。