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『Twilight Struggle』ってゲームがあってね(国際コミュニケーション学科 髙野盛光)

研究室からこんにちは(短期大学)
 8月上旬に5年ぶりにボードゲーム会に参加しました。短大スクーリングではユーロゲーム(もしくはドイツゲーム)をもっぱら取り上げていますが、今回参加したのは(ウォー)シミュレーションゲームを楽しむメンバーとの集まりでした。

 プレイしたのは、BoardGameGeek(ボードゲーム愛好者による世界最大級のデータベースサイト)で今なお全体順位14位、ウォーゲーム順位2位、戦略ゲーム順位13位(2023年9月20現在)に位置する『Twilight Struggle』。初版が出たのは2005年であり、日本ではクロノノーツが日本語版ライセンス商品を出しています。今は亡きソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)、ドイツ民主共和国(東ドイツ)も現役で登場しています。ゲームではアメリカ(合衆国)陣営とソ連陣営いずれかを受け持って、第二次世界大戦後の米ソ冷戦(東西冷戦)時代(ゲームでは1945年から1989年までの45年間)における覇権争いを大量のイベントカードを用いて繰り広げます。イベントには「朝鮮戦争」、「中東戦争」、「コメコン」、「五輪」、「」ワルシャワ条約機構」、「北大西洋条約機構」、「印パ戦争」、「スエズ危機」、「キューバ危機」、「SALT」、「イスラム革命」、「文化大革命」、「ABM条約」、「ケネディ暗殺」、「キャンプ・デービット合意」、「イラン大使館人質事件」、「鉄の女」、「スター・ウォーズ」、「大韓航空機撃墜事件」、「イラン・コントラ事件」、「チェルノブイリ」、「ベルリンの壁崩壊」、「連帯」、「イラン・イラク戦争」などがあります。それらの中には緊張緩和になるものもあるものの、戦後国際社会における基本的には胃が痛くなるような一触即発なイベントがこれでもかと登場します。

 『Twilight Struggle』は決着が付くまでに120-180分がかかるとされる、いわゆる重ゲー(重量級ゲーム)であり、わたしもこれまでに二度しかプレイしたことはありません。二度ともソ連陣営を担当しており、史実と異なり2度ともソ連陣営が勝利をおさめています。一度は欧州(ヨーロッパ)を支配してサドンデスでの、もう一度はアメリカ陣営が核戦争のボタンを押しての勝利でした。

 この原稿を書いている2023年9月21日現在、ロシアによるウクライナ侵略は今なお続いています。『Twilight Struggle』がわたしたちに提示しているのは先にも書いたように米ソ冷戦時代における史実であると同時に、そのイベントが一歩間違えば単なる覇権争いに終わらず核戦争を引き起こしていたかもしれないもう一つの可能性です。その可能性が史実とならないように日本国憲法に謳われている「平和主義」の理念を守ることの意義を強く感じています。